釉掛け・6日目

寒すぎて窓を開けて作業できず、スプレーガンで施釉するのは諦め、カップの内側に柄杓掛けで施釉。でんでん虫の渦の中に釉を詰める。

窯の最下段に入れるカップが足りないので、下地釉掛けで見つかった底にキズが入ったカップも釉薬のテストも兼ねて焼くことに。酸化用のビアマグも後でやろうと砕いていなかったので焼く。中まで通っていないキズなので使用できる。以前は陶器市では求められるのと自宅での試用にできるので確信犯で焼いていた。最近は焼き上がりが楽しみな力作(?)以外のカップ等小さなものは砕いて通路の敷石にしている。陶器市も様子が変わってきた。

何年も前に「見せてください」と訪ねてきた方が、今のように展示スペースも何もない時だったので窯場の棚に載っているものを見ながら「どんなに素晴らしいものが並んでいてもキズのあるものを売っている店では買わない」「以前はB品と合格品をちゃんと分けていた人も売れっ子になったら仕分けしなくなった」と話して「ありがとうございました。また見せてください。」と言って帰られた。素人ではなさそうに見えたので私に何かを伝えたくて足を運んでくれたのだろう。

「割れた(キズのある)壺を売ってる店を知りませんか?」と聞く人もいる陶器市、様々に使い方を考えて通常価格ではとても手の出ないものを「エッ!」という価格で手にできるから遠くから見える。

二人とも、時々思い出す忘れられない人で、ねじねじの花瓶など長時間かけて作ったものや残念で諦めきれないものはキズがあっても破格値で出しておくが、注文で沢山作ったものはサービスでおまけにする等して売るのは止している。ずっと前は売っていた。

何も知らない益子に来たばかりの頃、一窯分の注文の湯のみを「色がダメだ」と言って陶器市に出した親方。すぐに完売した。柿釉と黒釉の湯のみで当時はどこが?と思ったが今では解る。還元がかかりきってない。多分温度も高め。店には到底持って行けない。そういうものがもったいないので処分するためにできたという陶器市。店では絶対に買えないものが手に入る。今ではアウトレットモールというものができ様々なものがまさに陶器市のように処分価格で手に入るようになり、消費者の感覚も変わってきたようだ。完品をお買い得価格で手に入れるのは日常になっている? 作り手には厳しい時代。

「キズ」から色々思い出し、ダラダラと記してみた。